ある日突然、お母さんや奥さまが、がんになった場合、家族の生活はどの様に変化するでしょうか。その場合は、入院や治療によりお父さんや旦那さまが子供のサポートをすることになるかと思います。しかし、仕事などにより休みが取りにくい方もいらっしゃるでしょう。お父さんや旦那さんは、仕事、家事、子育てにより大忙しとなり息つく暇もなくなるでしょう。
がん治療には時間がかかります。手術や入院が終わったとしてもその後の治療期間のほうが長いのです。ホルモン治療は一般的に5年かかり、それ以上かかる場合もあります。がんが再発したら、命を落としてしまったら…家族の生活や精神的な不安は募ります。
また、がん治療を行っている奥さまに対して、旦那さまの理解が得られない場合もあるといいます。入院や手術時期には優しかったが、手術後には配慮がなくなってしまい、旦那さまの態度や言葉がストレスになるとお話しする患者さんもいます。
この様に周囲の理解が得られない要因として、”手術と治療の違いを理解できない” “抗がん剤治療とホルモン治療の副作用の違いを理解しにくい” ことが挙げられます。手術は目に見える傷があることから、患者さんが今どのような状態にあるのか周囲の人も理解がしやすいです。しかし、治療の場合、外来で行うことから目に見えない副作用もあり大変さを理解できない場合があります。また、副作用の場合で最も治療の辛さを理解するのが難しいのはホルモン治療でしょう。抗がん剤治療は、髪が抜け落ちたり、嘔吐など目に見える副作用が多い一方で、ホルモン治療では更年期障害に類似した副作用が出ます。ホットラッシュ、イライラ、鬱っぽい症状です。この様な症状は見た目では分からないために、周囲が理解しにくい状況になってしまっています。
がんの治療はとても辛いものです。決して治らない病気ではありません。お母さんや奥さまが、がんになったことで家族に与える影響は悪いことばかりではありません。家族の絆や有り難さを再認識する場合もあります。大切なお母さんや奥さまをサポートする家族の存在がとても大切です。